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第91話

東城は、広瀬の手をなでる範囲を広げていく。 肩に、指先に彼の大きな手が行き来した。 広瀬をなだめるしぐさから、もっと違う意味を持ち始めている。首に手が触れた時、広瀬はビクンと震えた。腰から下にかけて重い刺激が走ったのだ。 広瀬の反応を合図にしたように、東城は身体を起こし、広瀬にも手を回すと近くに引き寄せた。 自分の胸に広瀬をもたれかからせて背中から抱き込んでくる。広瀬の背中と彼の胸がぴったりと合わさった。 彼の手が広瀬の胸に触れ、息がうなじにかかった。 「ずっと、こうしたかった」と東城は息をはきながらかすれた声で言った。「お前からいい匂いがする」 わき腹や腹をなでられた。 「この感触。なめらかで熱くて、指先から溶かされそうだ」 東城の手が行き来していくうちに、広瀬の身体は火照り、息も熱くなっていく。 彼の指がくりっと乳首をつまみ上げた時、広瀬は「あ、」と声をあげた。「そこは」いきなりの刺激が強すぎて、広瀬は身体をねじった。 東城は逃げるのを許さずに広瀬の身体を固定し、指先にさらに力を入れる。「触る前から尖ってた。触って欲しかったんだろ」声音には、少し意地悪が顔を出している。 爪の先でとがりを押され、広瀬はいたたまれずもがいた。東城は指の動きを止めない。両手で乳首だけをずっといじり続けている。 腰がどんどん重くなり、しまいに、触れられてもいないのに弾けた。身体がガクガクと自分の意思に反して動いてしまう。 「どうして欲しい?もっと、気持ちよくしてやるよ」と東城は言った。 広瀬は、うなずいた。 東城に指に、身体に、溺れていってしまおう。このまま彼と一つになって、自分は自分でなくなるのだ。

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