101 / 159

第101話

「それが、竜崎さんの俺への依頼なんですか」とやっと広瀬は理解した。 「そうだ。光森にそれとなく広瀬の居場所の手がかりをつかませれば、光森は会社に報告する。菊池はやってくるだろう。できることなら、逮捕前に菊池から証言もとりたい。彼が記憶のデバイスや研究所の機密情報を盗み、君をつれて海外に逃亡したことを菊池自身の口から話させることができたら、必ず有罪に持ち込める」 「いや。広瀬が、もう一度菊池に会うことはない」と東城が再度竜崎の言葉を遮って言った。「そんな危険なことは、させられない。お前、正気なのか、竜崎。広瀬がまた菊池の言葉にとらえられて、連れ去られたら、どうするつもりなんだ」 竜崎は、書類の中身を確認し、一枚紙をローテーブルに置いた。 「これは、今回の件の協力に関する同意書だ。ある程度の危険があることはやむを得ないだろう。できるだけ広瀬の安全が確保されるようバックアップはする」

ともだちにシェアしよう!