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第4話
今まで、他人の家に泊まる事さえした事が無かった……だから、見慣れない天井を見た瞬間、不安になるのは不思議な事では無かった。
けれど、直ぐにその視界には男が入り込んで来て、男の顔を見た瞬間にホッとする自分がいた。
「優しく抱いてあげる……」
「……できる?」
「え?」
教士は男のその言葉に少し冷静になり、そう告げた。
何故そう言ったか。それは、のんけのこの男がこんな簡単に男相手に性的興奮を覚えるとは思えなかったからだ。
教士の場合、男の優しい手付きでもう下半身は熱くなっているから大丈夫だけれど……でも、男は違うはずだ。
「あぁ、男とって事? まぁ、男は初めてだけど……」
「ンッ……ちょっ、何して……っ」
「あんたなら抱きたい……」
男はそう言うと手慣れた手付きで教士のスラックスを脱がし、履いていた白のブリーフまでもを膝まで降ろした。
「アッ! だ、ダメッ……そんな…そんなところぉ……ぅ」
そして、教士のペ◯スを躊躇いも無く口に含み、唇を窄めながら教士のそれを吸う。
すると、そのねっとりとした生暖かさに、教士のペ◯スは更に大きくなり、無意識に腰を動かしてしまう。
「ハハッ、あんた腰動いてるよ? 女みたいだな……」
「う…うぅ……だって」
「大丈夫。可愛いって事だよ……」
男は口を話すと泣き出す教士にそう告げ、おでこにちゅっとキスをしてきた。
そして、同じ事を教士にもして欲しいと言ってきて、自身のハーフパンツも下着も脱ぎ捨てたのだった。
その言葉に、こくっと頷いた教士は、ベッドに寝転がった男の顔を跨ぎ、ギンギンに勃った男のそれを恐る恐る触って口に含んだ。
(熱い……硬い……っ)
初めて他人の物を触り、口に含んだ教士は、自分がそれに嫌悪感も抵抗も無く、逆に興味や興奮が膨れて行くのを感じ、自分の性的対象者はやっはり男であるのだと思い知らされる。
「ンッ、ジュッ……ジュポッ…チュッ……」
「チュパっ……ちゅちゅちゅっ……ちゅ……」
シックス◯イン。こんな事をする日が来るなんて……ほんの数十分前にベンチに座っていた自分には想像すらしていない。
「うん…はぁ……良いよ。つーか、本当に初めて? 結構上手いんだけど……」
「うま…ぃ……?」
上手いと言われて嬉しくなった教士。
貶される事や馬鹿にされる事しかない教士にとって、男の言葉は冗談にしか聞こえない。けれど、魔法のように教士の心を癒してくれた。
「もっと、吸って……」
「ふぉお? ちゅちゅちゅッーーー」
「そう、良い……ンッ!」
「んぐッ……」
いっぱい吸った瞬間、突然頭を鷲掴みされた教士。その瞬間、男は教士の口の中で盛大にイッた。
「ンンッ……」
頭を鷲掴みされた教士は、その全てを口の中で受け止め、ごくっと喉に流し込んだ。
「ゴホッ、ゲホッ……うー……」
「はは、ごめん。飲んだ?」
「ろんら……」
そう言って、咳き込みながら教士は男の元にのそのそっと寄り、口の中を大きく開いて口内を見せた。
「えっろ……」
「ふぇ……?」
「ヤバイよ、あんた……」
それはただ、男に飲んだ事を見せ付けるためだけにした行動なのに、男はそれに興奮を覚えてしまったようで、イッたばかりのそれがまた膨張し始めているのを見てしまった。
「ちょっ、アッ!」
男は教士の身体を押し倒すと下肢を大きく開かせ、サイドボードに置いてあったローションを全て教士のあそこへと垂らした。
「ちゅめたい……っ」
「がーまーんー。すぐあっつくなるから……ンッ」
「あっ、ああっ! 嘘、な、何挿れて……指!?」
「そう指。ハハッ、こんだけローションかけたら直ぐに解れるな」
「ヤッ、アッ、嘘……あっ、指……そんな…汚いッ……」
「大丈夫。俺、あんたのなら平気……なんでも出して」
「ば、馬鹿じゃないの!? ……はぁんっ」
「あ、ここ? この、こりこりっとしたところ? これがよく聞く前立腺?」
「しら……知らにゃ……知らない……ッ」
「でも…気持ち良いんだろ?」
「アッ! ダメッ、イキそうッ……」
「イク? なら、まだ駄目だな……これ挿れないと……」
「これ……?」
〝これ〟そう言って、男は自身の猛ったペ◯スを掴むと教士に見せ付けて来た。
「そ、そんなの……入んないよ……っ」
「大丈夫、平気平気。入んなくても……」
「アッ! やあっ!」
「ぶち込むから………」
「アアアッーーー」
男は教士の意思を聞く事無く、それを挿入して来た。その瞬間、教士は初めて知る異物感に頭がパニックになる。
「はは……キツイ……」
「い…いたぃ……」
「大丈夫……ちゃんと解したから……」
「でも……」
「処女なんだから仕方ねーって……我慢しろよ」
「うぅ……」
「よしよし。良い子……」
男は涙を浮かべる教士の目尻にちゅっとキスをし、そう言いながらあやす。
(い……良い子? 僕が……?)
その言葉に絆されてしまう教士は、痛みよりも男の全てに意識が集中してしまい、無意識に男の背中に両手が伸びてしまう。
「良いよ。強く掴んで……もっと…俺と深く繋がろう……」
「アッ……ンンッ……」
教士は男が言ってくれた通りに強くその背を掴んだ。
男の背は逞しくガッチリとしていて、自分の身体とは比べ物にならないくらい男らしい身体だった。
「お、奥……」
「ん? ちゃんと届いてる? あんたのここまで……」
「う…ん……来てる……。あっ…奥…中……いっぱい……」
痛い、よりも嬉しい。そんなよく分からない感覚が教士を支配する。
「動いても良いよな? もう、俺限界……」
「ハァ……アッ、アアッ!」
でも、それは男も同じようだった。
男は自分でも抑えられない衝動に駆られたのか、我武者羅になって教士に腰を打ち付け、激しく抱いた。
「ハァ…ハァ……ッ」
その顔はさっきとはまるで違い、少し幼く見え、欲しい物を早く早くとせがんでいるように余裕が無い。
「アッ、アッアッアッ、いあッ、アッ……」
「俺……こんな……ヤバイの初めてだ……」
男は教士の耳元でそう囁き、教士の左頬に顔を埋めた。
その可愛い行動に、教士は何故か今まで感じた事がない気持ちが溢れ、名前を聞きたくなった。
「な…まえ……」
「え……?」
「教えて……」
「名前? 良いよ……ーーー」
そう言って、教士の耳元で男は自分の名前を告げてくれた。そして、知りたいと言うから教士も男に名前を教えた。
「な……つき……」
「きょう…し……きょうし……」
教士は〝なつき〟と名乗った男の名前を、何度も、何度も何度も口にした。
なつきも、教士の名前をたくさん呼んでくれて、教士は名前を呼ばれる度に涙が溢れた。
(花火の…音……聞こえる……)
そして、窓の外が時々明るくなり、花火の音が微かに聞こえて来た。でも、その音が鳴る度になつきが最奥を突き上げ、朦朧とする意識はまたなつきにへと戻される。
(このまま……)
このままーーーそう願いながら、教士はこの時間を心に、そして、身体に刻むように、外で放たれている花火の音を聞きながら、なつきに抱かれ続けたのだった。
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