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第11話
「サクラ、ドッジボールしようぜっ!」
「うんっ!」
耕平は俺のヒーローだった。
クラスの中心でにこにこしてる耕平が大好きで、大好きで、自慢の友達。
俺はどちらかと言えば我関せずと言うか唯我独尊タイプ。
誰に何を言われても特に気にはしない。
大切なのは自分の心だと思っていたし、外野の言葉は特に興味もなかった。
「佐倉って女みてぇな名前だよな。」
「おーんーなっ、おーんーなっ」
ある日、クラスメイトが悪絡みをしてきた。
小学生のよくある意地悪だ。
佐倉は苗字だし女って言われても困る。
と言うか、女じゃないし。
無視して体育館にドッジボールをしに行こうとすると、耕平がにこにこ笑いながらそいつらに話し掛けに行った。
「お前らサクラが好きなのか?」
「はっ!?
佐倉は男だろ…っ!
俺はホモじゃねぇよ!」
「男って分かってて言ってんじゃねぇか。
そういうのダッセェからやめたら?」
「…っ」
佐倉をからかっていた子供達は居心地悪そうに顔を見合わせる。
「なぁ、それより一緒にドッジしようぜ。
人数多い方が楽しいし。
な!」
次の瞬間、とびきりの笑顔が咲いた。
耕平はあっという間に仲間にしてしまう。
険悪な空気は一変して楽しそうなものへと姿を変えた。
「サクラに絡まないで、素直にいれてって言えばいいのに。
佐倉、嫌な気分じゃねぇ?」
「うん。
大丈夫。
気にしてない。」
冬真は当時から冬真だった。
心配性で、何時も佐倉を気にかけて過保護。
そんな3人でいるのが何より居心地よくて、当たり前で、この友情は永遠だと疑う事すらしなかった。
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