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第1章①

ひとり暮らしの生活、落ち着いた? 連絡が来たのは、まだ寒さの残る2月下旬のことだった。柊 廉は、過保護過ぎる親元を離れてようやく、ひとり暮らしをして半年になる。連絡をくれたのは、廉が高校生の頃から兄のように慕う、1つ年上の蓮見 翔太だった。 良かったら、遊びに行っても良い? そう聞かれて、廉は思わずスマートフォンを抱きしめてしまう。暫くして、幼さの残る行動に気が付き、我に返って恥ずかしくなった。 翔太は廉にとって憧れそのものである。学生時代から彼は長身の細身で顔立ちと愛想が良く、異性だけではなく同性からも人気があった。現在は地元企業で優秀な営業マンとして働いている。昔から女癖だけは悪かったが、そこは目を瞑っていた。というよりも、奥手な廉にとっては、それすら憧れの対象であった節がある。 そんな翔太は学生時代から同じ委員会に属していた後輩の廉に気を掛け、親しくしてくれていた。それが嬉しいのだが、コミュニケーションをとるのが苦手な廉はあまり距離を詰めることも出来ず、交友関係だけが15年ほど経った今も、たまに連絡を取り合う程度に続いている。 もちろん、と短く返信すると、翔太からすぐに話を振られた。 俺の幼なじみも、連れて行っていいかな?

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