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第5話
「……ん、ぅ…」
ゆっくり、と。
呼吸が落ち着いていく。
息苦しさが引いていく。
「上手に出来たね、いい子」
「……っ、…っ」
抱えられた腕の中、そっと手を滑らせる。
「え………?」
引き締まった胸の中心に、縦に伸びる感触がある。
「…え、……?」
「手術の痕だよ、それは」
縦に伸びる痕。
安心をもたらす香り。
何かが心を大きく動かす。
「え、え…?そ…な……!?」
「やっぱり、君なんだね、ゆう」
「ゆ…き?……雪?」
「漸く会えた…!ゆう、ゆう…!」
「っんぅ…っ、ん……ふ」
驚いて見上げた真優の頬に触れた頬、愛しげに啄んでくれる唇。
大きな雷鳴が轟いても、不思議な位に心が凪いでいた。
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