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第7話
境内の中の離れと聞いてコテコテの日本家屋を想像していたのだが、中は手入れの行き届いた和洋折衷の建物であった。
所々に置かれたLEDランプのお陰で、怖さも感じない。
「曾祖母ちゃんが足腰弱ってね、その時に中だけ改装したんだ」
「そうなんだ…。あ、お邪魔しまっす…」
「どうぞどうぞ」
靴を脱いで上がり、脱衣場に案内された。
雪は防水の懐中電灯を吊るす。
「あ、停電しちゃってるから、右の蛇口使って。
温泉のお湯が出るからね。
取り敢えず、あったまって」
「あ、ありがと…」
「着替え、僕のでいいかな。
タオルと一緒に持ってくるよ」
「あ、うん」
シャワーは出ないけれど、手桶でなんとかなる。
備え付けのボディーソープやシャンプーを使い、真優は温かいお湯に浸かってホッと一息ついた。
風呂上がり。
タオルでガシガシと適当に拭いていると、もう一枚のバスタオルで水分を丁寧に拭かれる。
「…ほら、大雑把なのは良くないよ」
「え、えう?」
狼狽える所も、世話を焼く雪に従うのも、入院していた頃と変わらない。
『ゆうの反応の一つ一つが凄く可愛い…。
何かこう…子犬みたいなとこも変わってないのが嬉しいな』
約10年振りの再会なのに自然に距離が縮まるのが嬉しくて、雪は笑みを零した。
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