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第8話

境内の方から来る風が涼しくて、冷房や扇風機が無くても暑くない。 藺草のラグに並んで座り、一息つく。 「やっぱりまだ国道が渋滞してるって。 家の前から全然動けないって言ってる」 「無理して割り込んでも抜けられなくなるから、今日はここに泊まって行きなよ。 祖父ちゃんもそうした方がいいって」 「へ?……あ、ホントだ」 お互いのスマホの画面を見ながら家族に送信する。 雪が凄いイケメンになってると打つと、物凄いテンションで返事が来た。 『え!?あの天使の雪くんが!? 見たい!イケメンの雪くんが見たい!』 その成長っぷりを今すぐ確かめたいが、明日の朝まで我慢するとの返信が来た。 「うちの祖父ちゃんも、一緒に入院してたのがゆうだって知って驚いたって。 もしかして、東署のとこのコンビニでバイトしてる?」 「してる。 え、どうして知ってんの?」 「対応が良いバイトくんがいて、祖父ちゃんがお気に入りらしいよ。 僕と同じ年回りの学生さんで、いつも感じのいい子がいるんだって。 特徴を話したら、ゆうだった。 ほら、見てみて」 「え、ホント…?」 母と同じようなテンションの返信だ。 『そうか!あの子か! あの店で抹茶ラテ買うんだが、あの子の作ったのだけ滅茶苦茶美味いんだ。 一晩と言わず、空が荒れてる間ずっといてもらってくれ!』 「………」 「ね?祖父ちゃんがこんなふうに文字にするの、凄く珍しいんだよ」 「うひゃ…っ」 お互いの家族のハイテンションっぷりに、二人でくすぐったい気持ちになった。

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