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第9話

クスクス笑い合い、変わらないものを確かめて。 一番見たいものの話題になった。 「ね、雪のしるし、見たい」 「僕も、ゆうの印が見たい」 お互いにシャツのボタンを外す。 物凄く照れ臭くて、顔が熱い。 露になった胸の真ん中に走る痕を指で触れ、懐かしい印をなぞる。 「雪の左肩のホクロ、変わんないね」 「ふふ…っ。 ゆうだって、右胸の花びらの形のアザ変わってないよ」 「うん」 幼いあの日と変わらないものが其処にはあった。 「でもさ、雪が凄いイケメンになってるなんて思わなかった」 「そう?僕、イケメン?」 「イケメンだよ。 すんごいイケメン。 俺さ、雪は天使のまんま、フワフワな感じって想像してたんだ。」 「ヒョロヒョロ伸びただけだよ。 僕もね、どんどん背が伸びて、ゆうに似合わなくなってってんじゃないかって、心配だったんだ」 「俺…、ずっと悩んでたんだ。 カッコ良くなって、雪をエスコートするって決めてたのにって」 「今のゆうも好きだよ」 クスクス笑いながら、口づけを落とす。 「ゆう…、可愛い系の男子になったね」 「あんまり身長が伸びなかったんだよなぁ…。 もっとガッシリしてて、キリッとしたイケメンを目指してたんだけどなぁ…」 「丁度いいよ。僕の腕の中にスッポリというか、ジャストサイズだもん。 ほら、ね?」 「雪がいいなら、いいかな…」 しなやかな腕にギュウッと抱きしめられて、甘いため息が零れる。 仲良くはなっても、誰かと親密な仲にはなれずに来た。 だだの思い込みで「雪でなければ」「真優でなければ」という訳ではなく、自然にそうなっていた。 「雪にジャストサイズなら、それでいい」 「僕も。ゆうにぴったりなサイズになれてて嬉しい」 「きっと、こうなるように出来てるんだよな、俺たち」 「そうだね。 同じ病室になったときから…、生まれた時からそうだったのかも」 「ホントにそうならいいな…」 そうありたい。 そうでありたい。

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