12 / 144

第12話

湯につかりながら、アキラのことをもう一度考えるみずき… 『っ嫌、だ…ッ』 突然の拒絶… 夢…なのか? 何か不安なことがある? …今日のアキラの様子は何か引っ掛かる、けれど… それが何であるか、みずきには見当もつかないのだった… (発作も、急に起こるようになったのだろうか…) また…アキラに聞いてみないと…。 風呂から上がって…電気等の始末をしたあと、寝室に戻る。 そっと布団の中へ入ると…アキラがこちらへ寝返りしてくる。 「アキラ…」 優しく呼んで頬に触れるみずき。 「ん…」 浅く頷くアキラ。 今度はいつものアキラの反応… 「おやすみ…」 小声で言葉をかけ、唇にキスをするみずき… 瞳を閉じたまま受け入れるアキラ。 「……」 その様子をしばらく見つめて…アキラを抱き寄せ、みずきも眠りに入る。 翌日…朝8時前。 先に目を覚ましたみずきは、まだ眠るアキラを起こさないように、いつも通り布団からでて暖房をつける。 アキラはまだぐっすり眠っていて、心配ではあったけれど、取りあえず起きてくるのを朝食の準備をしながら待つみずき… 今日は昼は仕事が休みなので、朝ゆっくりできる。 アキラも昨日、発作があったらしいから、今日は学校を休むつもりなのだろう。 布団に埋もれて、眠り続けるアキラ… 9時過ぎる頃になり、ようやくアキラは起きだして来る。 寝起きで、ぼーっとしているアキラ…、みずきは、すぐそれに気付いて… 「おはよう…大丈夫か?」 みずきは起きて来たアキラに近づいて様子を聞く… 「おはよ…もう平気だから…」 アキラはみずきを見上げ、少し微笑み答える…。 ふと気付くみずき… 「アキラ、唇が…」 昨日は暗くて分からなかったが、唇の端に、少量出血したあとがあり、かさぶたを作っている。 「え?あぁ…コレ、昨日自分でやったんだと思う…発作の時に…」 少しうつむき、唇に触れながら、ぽそっと答えるアキラ。 ほら、こんな嘘だって平気でつける。 どんどん嘘を塗り重ねていって、いつのまにか、嘘がさも本当であるかのように…自分も錯覚してしまう。 この身体の痛みは、発作のせいで… でも、そうしたくても…拭え切れない痛みも体に刻まれてる。 「アキラ…発作」 心配して聞こうとするみずきに… 「みずき、もう大丈夫だから…顔洗わせて…」 「あ。すまない…」 すぐ避けるみずき。

ともだちにシェアしよう!