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第16話
急に聞いてくるアキラにドキドキしながらも、ちゃんと答えようとするみずき。
「全部とか言うのは駄目だからな」
アキラは答えをもらう前に注意する。
「…あぁ、俺はアキラの強い心が、尊敬できるし、一番好きだな…アキラは自分に足りないものを沢山持っていて、それが俺の心を惹きつけて離さない…」
すべてと言いたかったけれど、駄目といわれてしまって、やや困った風に首を傾げて、微笑んでそう答えるみずき。
「……じゃ、オレからそれがなくなったら、みずきはオレの事を嫌いになるかな…」
ポツリと視線を下げて聞く…
「アキラ?」
そんな事をいうアキラを見て驚くみずき。
「今のは答えなくていいよ…」
聞かなくてもわかるから…、今は…。
軽く流すアキラだが…
「アキラ…俺が、アキラを好きな理由はひとつだけじゃない、うまく言えないけれど、もっと深いところまで愛している。そんな簡単に嫌いにはならないから、アキラのことを…だから、安心してここに居ていいから…」
アキラの言葉の中に、どんな真意が隠されているのか…
不安になるが…
アキラだって不安はある筈、それをあまり見せてくれないアキラだから…
気付いて自分がしっかり支えないといけない…
みずきは伝えながら、そう強く思う…。
「アリガト…」
アキラはみずきの言葉に頷くことはなく…ただお礼を言う。
複雑な心境を隠すために…。
「……」
なにかいつもと違う、そう感じるみずきだが…
そんなアキラを見守ることしか出来ないみずきだった…。
《隠しごと…》終
次章《波乱の予兆》へ続く。
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