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第19話
「あまり、そうゆうこと…言うなよ…、…お前の言葉、優し過ぎるから、マジになりそう…」
「えっ…!?」
マジ…本気になる。
俺に対して?みずきはアキラの綺麗な唇から零れた言葉に…動揺する。
今までは、出口の見えないトンネルの中にいるような気分だったが…
一気に光が見えたような…そんな衝撃…。
いくら愛していると言っても…
アキラが自分を見る時は愛する人ではなく…ただの恋人。
付き合っているだけ…
決して対象として見てくれなかったけれど…。
(マジになりそう…)
それだけの言葉でも、みずきの心を急浮上させるだけの力があった…
「あぁ、あぁ。大丈夫…幸せにするから、俺の傍に居てほしい…」
しっかり頷き言うみずき。
「……」
みずきに抱きしめられながら…
複雑に想うアキラ。
(オレは…本気には…なれないんだ、みずき…)
オレは…もう誰も愛せない…
裏切られる事が分かっているから…
好きな人ほど近くに居たくない、迷惑をかけて生きたくない…
だから、優しくしないでほしい…
これ以上、好きにならないように…
自分の言った言葉を後悔しながら…
心のうちで、静かに想う。
そうして、この夜も…一緒に風呂へ入るのを断り…
疲れを理由にSEXも断わった…。
みずきの望みをひとつも叶えず…
自分のわがままだけを押し付けて…
しかし、それさえも優しく許してくれるみずき。
その後も普段と変わらず接してくれる彼を見ていると、自分の方が余計苦しくなってくる…。
出て行かなくてはならない…
それなのに…動けない。
(出て行けないのか…行きたくないのか…)
自分の気持ちにも迷っているうちに、あっという間に時は経ち…
ついに、一週間が経ってしまい、悪夢の水曜日がやってくる。
ここ一週間は、陰部のヤケドを隠す為、みずきとは寝てない…。
みずきは、それをストレスに感じてはいるが…オレの前では見せないようにしている。
持病の発作が起きた事を伝えているから…無理はさせられないと、我慢してる…。
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