21 / 144
第21話
「な、みずき…今日、夜も仕事だよな、ついて行っていい?」
重い思考を止めるように…みずきに話しかける。
「えっ!?夜は…駄目だ、夜間は危ないし…帰りは夜11時を過ぎるから、余計、体調が悪くなる…家で待っていてくれ…」
驚くみずき…思いつきな様子のアキラ。
真剣に言うみずき。
昼は自分の仕事が終わるまで、暇つぶしに一人で外出させられたけど、夜間は、さすがにそうはいかない…
疲れさせたくない思いもあって、家に居てほしいと頼むような口調で言う。
「オレ、大丈夫だけどな…」
視線をナナメにそらし答えるアキラ。
「…アキラ、オレが心配だから、いつも通り家に居て欲しい…頼む」
家にいる方が危険であることを知らないみずきは…そう、はっきり真剣に願う。
「……分かったよ、心配性みずき」
そんなみずきを見ると、食い下がってまでついて行こうとは思えないアキラ。
みずきの額を軽く小突いて話しをごまかす…。
いつも通り家に着き、一緒に食事を済ませる。
夜間の仕事までの時間を一緒に過ごす。
その間も、タツたちの撮影の恐怖が頭から離れないアキラ…
いつ、やってくる気だろう…
たぶん、またみずきが仕事に行った後の筈…。
精神的にも緊張し通しのアキラ。
隠しているつもりだったが、みずきにもそれが伝わったのか…
「アキラ…少し休んだ方がいい、やはり疲れた顔をしているから…」
アキラの額に触れ、そうさとす…
「そっか…?」
首を傾げてみせる。
「あぁ、奥で休んでいいから…な、」
本気で心配しているのだろうみずきは、優しく促す…
「……じゃ、少しだけな…」
みずきに支えられ立ち上がり、寝室のベッドへ移動するアキラ。
「なにか飲む物がいるなら持ってくるから…」
アキラを横にさせ、布団をかけてそう囁く…
「いいよ…それより、仕事までまだ少し時間あるよな…みずき、傍に寝てて…」
頬笑み…素直に頼むアキラ。
「…あぁ、」
いつものアキラではない雰囲気に、心の中で首を傾げながらも、そんなお願いをされたら…嬉しくてすぐ返事をするみずき…
そっと、アキラの横…
布団の中へ入る。
「アキラ…」
優しく髪を撫でて、近距離からアキラを見て…高鳴る気持ちをおさえつつ…
アキラに布団をかけ直すみずき。
ともだちにシェアしよう!