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第25話
アキラはそっと顔を上げ、みずきと瞳をあわせ微笑み…
「ちった…」
横髪を耳にかけ…
唇をぺろっと舐めて見せる…
そんな可愛いらしいアキラの動きに心全て奪われるみずき。
「最高だよ…アキラ、愛してる…」
アキラを抱き寄せ囁く…
「……当然」
アキラもいつもの調子を見せ、優しく答える。
「アキラは…?」
ふとみずきはアキラに聞く…
自分だけしてもらって…
「ばか、そんなことしてたら収拾つかなくなるだろ、時間ないんだから…仕事」
微笑みながら、さりげなく仕事へ行くことを促す。
「そうか…じゃ、また今度な…」
苦笑いを浮かべ…
可愛いアキラに優しくキスを贈る。
「…ウン、」
頷くアキラを見て微笑むみずき。
「アキラ、しっかり休んでいろよ…」
アキラを再び布団へ寝かせながら頼むように言う。
「…わかった」
アキラは布団に埋もれる振りをして、みずきから視線を外し一言答える。
「じゃ…行ってくるから」
みずきは布団の中のアキラへ、額にキスを残し、仕事へと出掛けて行った。
「はやく…帰って来てな…」
ぽそっと独り呟くアキラ。
みずきが帰ってくるのは、どんなに早くても夜11時半…
5時間ほど、一人で待たなくてはいけない。
いつもなら全然平気な5時間だが、今日は訳が違う…。
タツ達が来る日…
暴行撮影をするために…
そんなトコロへ数分だって居たくないアキラ。
今、横になったばかりだが、布団から抜け出す。
防寒具などを身につけ…
寒さ厳しい二月の夜、アキラはみずきに内緒で家を留守にする。
タツたちから逃れる…
その為だけに…
《波乱の予兆》終。
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