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第30話

さらに混乱するみずきだが… もはや、じっとはしていられない。 帰宅したばかりだったが、急いで止めたばかりのバイクに乗り、真夜中の町へアキラを探すために出ていく… 必死に探し歩くみずきだったが、行くあてが見当もつかない。 警察へ連絡しようか…と悩むが…。 「えッ、知ってるのか?」 「はい、白いコートと帽子の…確か緑色の目をしていたと思いますが…2時間くらい居たので気になっていたんですよ…結局なにも買わずに出ていきましたけど…」 近くのコンビニ店員にダメもとで聞いてみると… 運よくアキラを見掛けた人物と遭遇できたみずき。 「それから、どこへ行ったか分かるか?」 藁をも掴む思いで聞いてしまう。 「どこへって言われても…あ、そういえば確か男2人と向こうに歩いて行ったような…」 思い出すように、教えてくれる店員。 「ありがとう、」 礼を伝えて急いで探しに向かう。 バイクは置いてアキラが行った方向の歩道を歩いて探す。 見るかぎり道に人影はない… (男2人と…) 店員の言った言葉が頭に引っ掛かる。 早く見つけないとと焦るが… 「……」 ふと、視線を流すと… 周囲を木に覆われた奥ゆきのある公園が目に入る。 (もしかしたら…) という気持ちで…公園の中へ… 薄暗く、木製の遊具が見渡す視界を遮る。 「アキラ、…アキラ?」 暗すぎて、視覚で確認出来ないため、みずきはその名前を数回呼んで存在を確認しようとする。 「……」 が、返ってきたのは、微かに聞こえる水音と静寂のみ… (ここにはいないのか…?) 焦る心におされてそう思うみずき… しかし‥… 確かに、その場所へ… みずきの探し求める存在は居た。 そして… 呼ぶ声も、ちゃんと届いていた… ただ…応えることを躊躇っていたのだ。 噴水のすぐ脇の地面に伏せているアキラ… 発作の間隔に入り…とりあえず痛みは引いていた。

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