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第31話

(…みずき…) アキラは、発作が起きてから三十分以上がたち、意識が朦朧としていた。 自分を探し求める声の主… 最初は幻聴かと思ったが確かに聞こえた… みずきの声…。 助けてもらうには今しかない、みずきを呼んで…薬を飲まなくては… でも、みずきに…こんな姿を見られたら… 今日のことをどう、説明したらいいのか、どうしても…迷惑をかけてしまう… 「…ッ、」 混迷する頭で思うアキラだが… しかし、みずきの気配が遠退くのを感じて…強烈な不安感に苛まれる。 まだ、繰り返し続く発作の苦痛と恐怖… さらに冷水を浴び頭を冷やしたためか… 全身の震えが治まらない… かなり熱が上がっている感覚… このままじゃ…長く続く発作に体力がもたない… 今…みずきに見つけてもらわなければ… オレは… そう危機感から、気付いたらその名前を呼んでいた。 「…、みずきッ…みず、ッ痛…ぅ」 かすれた声で精一杯呼ぶアキラ… しかし、再び発作の半身麻痺が起こり、上手く呼べたのは、一回きりだった… ようやく発せられたSOS…。 すでに、次の場所へと移動を考えていたみずき… 早足で、公園から出ようとしたところ… 諦めていたその耳に、微かに届いた声… 「ッ!?…アキラ?」 静寂のおかげで…弱り切った声もこの公園内に響いた。 ピタっと歩みを止めるみずき… (…今、確かにアキラの声が…) みずきは、驚きながらも、声のした方へ急いで向かう。 「アキラッ?どこだッ!」 呼んだあと…耳を澄ませるみずき。 微かに、短い息遣いが聞こえる… みずきは考える間もなく走っていた。 「ッアキラ!?ど…」 焦るみずきの目の前に、現れたその姿に絶句する。

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