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第32話
地面にうずくまって苦しんでいるアキラの姿…
慌てて駆け寄り抱き起こす…
「…だ、大丈夫かッ!?アキラッ!っ、冷…!?」
アキラに触れると、栗色の髪の毛は濡れて氷のように冷たい…
頬には土がついていた。
それを払いながら…アキラの様子を見るみずき…
アキラの状態は明らかに発作の症状を現していた。
「っ、み…、く、ッくす…りッ」
アキラは、半身麻痺の為強張った身体で声を出すことすら難しそうに、苦し気にみずきに伝えてくる。
「発作か!…くすり?…薬をまだ飲んでいないのか!?」
みずきはアキラの訴えを瞬時に読み取る。
「ッ、こ…、とッナカ…」
アキラは麻痺していない方の手を必死に延ばして、薬のありかを伝える。
「えっ?…薬、向こうにあるのか?」
暗くて分からないが、アキラの指し示す方向に行ってみようとするみずき、震えるアキラの身体を自分のコートに包み、抱き上げる…
「大丈夫か、しっかりしろッ、アキラ…」
麻痺する身体をしっかり抱きかかえながら移動する。
「あれは…」
少し歩いた所に、アキラのコートを発見する。
無造作に脱ぎ捨てられたコート…
「薬、この中か?」
アキラに問うと僅かに頷くアキラ…
発作の辛さに今にも意識が飛びそうだった…
「…あった!これだな、飲めるか?」
アキラが携帯している薬…
一通り教えてもらっているから種類、効能は分かる。
発作を抑える液体状の薬を選び聞くみずき。
「…ぅ、ッ…」
アキラは、今は無理と首をわずかに振り…
みずきからその薬を受け取るとそのまま握りしめる。
発作が間隔に入らないと薬を飲み込めないから…
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