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第35話

「大丈夫…一人がいいから…」 アキラははっきり断る。 浴室についてこられて、もしかしたら陰部の火傷の痕をみずきに見られるかもしれない… 知られたくないから。 「……アキラ」 体調も回復していないアキラのムチャな言い分に、やはり納得できず付いて行こうとするみずき。 それを睨んで… (来るなよ) そう、みずきを寄せ付けず、フラフラだが何とか一人で歩いて、風呂場へ消えるアキラ。 「……」 かなりアキラの様子が気になったが、今は怒らせてしまいたくないので、仕方なく部屋に残る。 「そうだ…」 ふと、思い出す… 寝室に、何者かが残していったタバコの吸い殻が散乱したままだ… (…片付けないと…) そう思い急いで部屋を片付けに行く。 「誰が…」 ぽつりと呟き、十数本ある吸い殻を捨てキレイに片付け、散らかっている物を直す。 どうしてこんな状態になったのか… 深く考えたかったが、風呂へ行ったアキラの事が心配になり、ひとまず部屋へ戻るみずき。 (落ち着いてから後で考えよう…) アキラの様子を確認する為に…静かに脱衣所へ行ってみる。 そのみずきの目に飛び込んで来たものは… 「ッ!アキラ…」 脱衣所の入口付近で床にパジャマ姿で倒れているアキラの姿… みずきは慌てて近寄るが… 「おい、アキラ!」 呼んでも意識の戻らないアキラ。 身体が炎のように熱い… シャワーを浴びたのだろう、髪も乾いていないまま… 不安になるみずきだが、まずアキラを抱きかかえ、ソファへ横にさせる。 体温計を挟み、髪を拭くみずき。 発作のあと意識が無くなる所を見たことがあるので、大丈夫と自分に言い聞かせ必死に冷静さを保とうとするみずきだが…

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