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第38話
「…じゃ、熱を測ってみよう」
「…うん、」
みずきは促すが、なんだか気の抜けたような頷きのアキラ。
「……」
アキラの様子を見て…みずきはアキラから聞けていないことが沢山ある事を思いだすが…
体温計の音でそれは途切れる。
「39.0…まだ高い」
計測結果を見て呟き、アキラの額に手を充てるみずき。
「…大丈夫、昨日よりは頭しっかりしてるから」
力無い声だが微笑み答える。
「それは、そうだろうけど…、何か食べて、休んでいないと駄目だ…」
みずきはさとすが…
「いい、食べ物はいらない…」
アキラは簡単に拒否する。
「アキラ、少しでも食べておかないと…」
「本当に、いらない…」
それでもはっきり拒否する。
しかし、みずきもアキラの健康を回復させるため、必死になる。
「…今朝、粥を作ったんだ…一口でもいいから、食べた方がいい…飲み物も持ってくるから…」
いつまでも粘るみずきに…布団の中のアキラは息をついて…小さく頷く。
「今、持ってくるから…」
それを見て嬉しそうに、粥を出す為、部屋を出るみずき。
「……」
しばらくしてお茶と温めた粥に梅干しを入れて持ってくるみずき…
アキラは瞳を閉じて、やはり体調悪そうな顔色をしている。
「アキラ、起きれるか?」
そっと声かける。
「ん…」
瞳をあけたアキラの身体を支えながらゆっくり起こすみずき。
「大丈夫か?解熱の薬を飲むにしても、なにか少しでも口にしてからじゃないと…な?」
気のすすまないようなアキラを見て…みずきは優しく言い聞かせる。
「…うん、」
確かに、それはそうなので…食べてみることにするアキラ。
みずきがわざわざ作ったものだし…と、そうも思って。
みずきは、食事介助を拒むアキラをなだめながら、少しずつお粥をアキラへ食べさせていく…。
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