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第39話
小スプーン3杯ほど食べさせたところで…
「…も、イイ、」
口元に手をあて、気分悪そうに言うアキラ。
「大丈夫か!?」
みずきは心配して言うが…
「っ…ダメ、吐く…」
アキラは傍にあったタオルを押し当て、うつむき咳込みながら吐いてしまう…
「アキラッ」
うろたえながらもアキラの背をさするみずき。
おそらく…今、食べたもの全部もどしてしまったアキラ…
「 ハ、ハァ…ッ、ごめん…」
つらそうに、下を向いて言う。
みずきは首を振って…
「いい、あやまらなくても…」
優しく答える。
「…ぅ、気持ち悪…」
息苦しそうにかすれた弱い声を出す。
「大丈夫か…?スマン、ムリヤリ食べさせたから」
アキラの状態を見て後悔するみずき。
「…ううん」
そう、アキラは首を振るだけ…
アキラは明るく普通に振る舞おうとしているが、食べ物を少しも胃に受け付けないのだから…
そうとう悪いのでは…
みずきは懸念して…
「…やはり、病院に行って点滴を受けた方が…」
「いい、動くと余計つらいから…もう少し休めば、大丈夫だから…」
やはり首を横に振る。
「…アキラ、苦しくなったら、すぐ俺を呼んでくれ、なんでもするから…」
さっきの事があるのであまり強く言えない。
そっと、アキラの頬に触れ身体を寄せて伝える。
「…ウン、」
浅く頷くアキラ…少しだけ微笑む…。
アキラは、語りかけてくれる相手を…
自分の為に必死なみずきの…
その触れてくれる優しさ、温かさをかみしめる…。
ぎりぎりまで出ていきたくないという、自分のわがままな考えのせいで…
また、みずきに負担をかけてしまった…
仕事まで休ませて…
それが一番アキラにとって嫌な事…
自分のせいで普段通りの生活を妨害してしまうことが…なにより苦痛。
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