39 / 144

第39話

小スプーン3杯ほど食べさせたところで… 「…も、イイ、」 口元に手をあて、気分悪そうに言うアキラ。 「大丈夫か!?」 みずきは心配して言うが… 「っ…ダメ、吐く…」 アキラは傍にあったタオルを押し当て、うつむき咳込みながら吐いてしまう… 「アキラッ」 うろたえながらもアキラの背をさするみずき。 おそらく…今、食べたもの全部もどしてしまったアキラ… 「 ハ、ハァ…ッ、ごめん…」 つらそうに、下を向いて言う。 みずきは首を振って… 「いい、あやまらなくても…」 優しく答える。 「…ぅ、気持ち悪…」 息苦しそうにかすれた弱い声を出す。 「大丈夫か…?スマン、ムリヤリ食べさせたから」 アキラの状態を見て後悔するみずき。 「…ううん」 そう、アキラは首を振るだけ… アキラは明るく普通に振る舞おうとしているが、食べ物を少しも胃に受け付けないのだから… そうとう悪いのでは… みずきは懸念して… 「…やはり、病院に行って点滴を受けた方が…」 「いい、動くと余計つらいから…もう少し休めば、大丈夫だから…」 やはり首を横に振る。 「…アキラ、苦しくなったら、すぐ俺を呼んでくれ、なんでもするから…」 さっきの事があるのであまり強く言えない。 そっと、アキラの頬に触れ身体を寄せて伝える。 「…ウン、」 浅く頷くアキラ…少しだけ微笑む…。 アキラは、語りかけてくれる相手を… 自分の為に必死なみずきの… その触れてくれる優しさ、温かさをかみしめる…。 ぎりぎりまで出ていきたくないという、自分のわがままな考えのせいで… また、みずきに負担をかけてしまった… 仕事まで休ませて… それが一番アキラにとって嫌な事… 自分のせいで普段通りの生活を妨害してしまうことが…なにより苦痛。

ともだちにシェアしよう!