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第46話

しばらくして、タオルでアルバムを拭きながらやってくる。 「はい、結構ほこりかぶってたな…ま、当たり前か、一度もみたことがないんだから…」 「え?見たことないのか、みずき…」 驚くアキラに… 「あぁ、かなり前に姉さんが置いて行って、その時は見る暇もなかったから、そのまま押し入れに片付けたんだ…」 きちんと説明するみずき… 「そっか…じゃ、一緒に今見よう」 アキラは誘って言う。 「あぁ」 アキラの隣に座って、 アルバムに手を添えて見る体勢になるみずき… 「…お、かわいい、かわいい、7月7日、午後9時2分、長男誕生。ちゃんと書いてるんだな…」 大きなアルバムをめくると、赤ちゃんの写真がコメントと共に貼ってあった… 「なんか…サルみたいだな…」 みずきがぽつりと感想を言う。 「はは、自分で言うなよ…あ、出生体重2550グラム、お前ももう少しで低出生体重児(未熟児)になるとこだな…」 「そうなのか?」 「ウン、2500グラム未満は低出生体重児(未熟児)になるはずだから」 「あぁ、そういえば、俺は3日ぐらい保育器の中にいたって言ってたな…」 思い出すようにみずきが言うと… 「低体重だったからだろうな…オレと同じだ、でもオレは2ヵ月以上いたけどな」 頷きながら答えるアキラ。 「お前は生まれた時の体重、どのくらいだったんだ?」 なにげに気になり聞いてみる… 「オレ?…オレは、普通の3分の1って言ってたから、800から1000グラムくらいだと思う」 首を傾げながらも答えるアキラ… 「はぁ…すごいな…」 それを聞いて感嘆するみずき… 「何が?」 アキラはきょとんと聞き返す。 そんなアキラを見つめながら… 「いや、人の3分の1の身体でも、よく育ってくれたな…根性あるな、アキラは生まれた時から、それがすごいと思ったんだよ」 本気で感心しながらアキラを褒める… 「ふっ、そんなコト言ったのお前がはじめてだよ…」 軽く笑うアキラだったが、みずきは、さらに真剣に伝える。 「そうか…?お前は、強いと思うよ…俺の何倍も、強く生きてきたと思う…」 アキラは軽く頭を振るが… みずきは続けて…

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