48 / 144

第48話

みずきも安心したように頷いてアキラを支えソファから起こす。 奥の寝室へ移動してアキラをベッドへ休ませる。 しばらく軽く会話を続けるアキラの傍につき添って、アキラがそのまま眠りにつくまで静かに見守るみずき。 やや苦しそうな息遣いで眠るアキラを見つめ… ふと、アキラの言葉を思い出す…。 (ーー仕事…夜は行って…頼むから、オレも困るから…お願いーー) 夜、俺を仕事に、どうしても行かせようとするアキラ… 奴ら(何者か)が来るからか? どうするつもりなのだろう… また夜出掛けるつもりなのか? 痛い目にあったばかりなのに…。 「……」 そんな状況で、アキラを一人残して仕事なんかいけない。 ただでさえ熱が高いのに… でも、アキラは俺が残ることを許してはくれないだろう。 「……」 アキラの前ではウソをついてしまったが… 本当は、夜間も仕事を休んでいるのだ。 そっと…眠るアキラの傍を離れるみずき。 アキラにウソはつきたくなかったが… アキラも隠しごとをしているから… 晴れない複雑な気持ちを胸に仕舞い込むしかない… それから数時間が経つ… みずきはアキラの様子を気にしつつ夕食の準備をしていた。 時刻は五時半を過ぎた頃… 「…みずき」 アキラが寝室から出てきて名前を呼んでくる。 「あ、アキラ、…休めたか?」 すぐに傍に行き答えるみずき… 「うん…」 軽くうなずくアキラへ… 「熱測るか?」 「もういいって、冷たいお茶ある?」 「あぁ、座って待っていろ…汲んでくるからな…」 いつもと変わらず世話をやくみずき。 アキラはソファに座って、その姿を瞳にとらえて困ったように微笑む… 「はい…他に欲しいものはあるか?」 みずきは急いでアキラにお茶を渡し聞く… アキラはそれを受け取り、気遣いすぎのみずきを見て息つくように笑い呟く… 「…じゃ、おまえ」 「えっ」 アキラの言葉にドキッとして止まるみずき…

ともだちにシェアしよう!