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第53話

「てめぇ!いきなり何しやがるッ!ざけんなッ」 今度はキレたヤタがみずきに殴りかかってくる。 「ッ!」 アキラの様子を気にしたかったが、向かってくる相手を無視できず… 殴りかかる拳を受け止め… 流れで反撃にでる、もう片方でヤタに殴りかかると… 相手もみずきの手を止めた、お互い睨み合う… 「お前は何だ!?何故アキラを…」 「ッるせ!こっちは仕事なんだッ、邪魔すんなッ!」 「…!?」 みずきの問いに怒鳴るように答えて、塞がった両手の代わりに蹴りを出すヤタ。 みずきはその蹴りを避けながら腕を交差にひねってヤタを投げ倒す。 「ぅ痛ッ!」 勢い良く床に倒され呻く。 「このッ」 みずきはヤタの動きを鈍らせるため顔を2、3発殴る。 「みずきッ」 状況を理解するまでに時間がかかったアキラだが、みずきを追求することなんかは後回しにすればいい… 今は、一刻も早くこの家から離れなければ… ヤタはタツをここへ呼んでいるのだから… 「みずきッ待てって、やめろ今は…」 ヤタを攻撃しているみずきをアキラは、割り込むように、かすれた声で止める。 「何故!?こいつはお前を…」 アキラがヤタを庇っているように聞こえ、困惑と怒りで言い返してしまうみずき。 「ちがッ、そうじゃなくて、早くここから逃げないと…」 「逃げる?何故…」 「いいから!」 緩くみずきの手を引いて入口へ行こうとするアキラ。 「行かせるかよッ!」 アキラの言葉に気を取られているみずきを見てヤタはバッと起き上がり腕を延ばして、アキラの手首を掴んで無理矢理引き寄せる。 「わッ…」 バランスを崩したアキラ、引っ張られるまま… ヤタの腕に倒れかかる。 「アキラッ!」 慌てるみずきだが… ヤタはアキラをしっかり捕らえ、アキラを盾にしてみずきの攻撃を凌ごうとする。 「くッ…」 アキラに密着して隠れるヤタを攻撃出来ず… 動けないみずき…

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