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第54話

「用があんのは、こいつだけなんだ、てめーは引っ込んでろッ!」 怒鳴るヤタ。 みずきに殴られたダメージがまだ残っているような顔だ… 「ッアキラを離せッ」 「みずきッ、オレはいいからッ早く逃げろ、巻き込む訳にはいかないから!」 状況を考えて言うアキラだが… 「アキラ、何を…」 みずきが呟いた瞬間… 入口から低い声が… 「あ?一匹多いじゃねーか…何だヤタ、その顔は…」 みずきに殴られた痕を見てタツは呑気に笑い言う。 「タツさんッ!もー、こいつ!どーにかしてくださいよッ」 ヤタはみずきをさして答える。 「ユウだな、久しいな…」 二ヤっと不気味に笑いながら部屋へのりこんでくる。 タツと、カイ… そして、もう一人後から入ってくる。 「なッ…タツ!?」 顔を知っている人物の登場に愕然とするみずき。 「俺らはな、サクヤが撮り忘れた撮影をわざわざ出向いて撮りにきてんだよ。邪魔はさせねぇからな…」 みずきは四人に囲まれる。 タツはみずきを寄せ付けないような口調で言い放ち、捕らえられているアキラの方へ歩いて行く… 「させるかッ!」 撮影と聞いては引き下がれないみずき、タツを止める為… 大柄なタツに躊躇うことなく向かっていく… 「おっと、カイ!」 みずきの攻撃をかわしながら仲間に指示を出すタツ。 カイは素早く動き、後ろからみずきの脇腹を狙って蹴りを入れる。 「ぅッ!」 タツは、痛みと衝撃でよろめくみずきの胸元を掴み… 「オラッ!」 みぞおちへ拳で手加減なしの強烈な一発をくらわせる。 「ッく、かはッ、けほッ…」 がくっと片ヒザをついてしまうみずき。 「みずきッ!くそっ、やめろタツ!」 それを見てアキラが叫ぶが… 構わずタツはみずきを蹴飛ばす… そして何事もなかったかのようにアキラへ向き直る。

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