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第63話

「ぅんー!」 後ろから聞こえるのは、縛られ押さえ付けられたみずきの声… 「アイツか…そろそろアレにも飽きてきたしな…」 タツは振り返りながら、そう呟く。 「…っ、タツ!?」 タツの言葉に、今度は何をするつもりなのか… 不安で声を出すアキラ。 「…ふん、お望み通り邪魔な奴は眠らせてやろう」 タツは何やら思いついたように笑い… アキラを一時、ヤタに預け、鞄の中からスタンガンを取りだす。 「サクヤ、2択だ…どちらか選んでもらう」 有無を言わせぬ言い方だ… 「なっ…」 「アイツを眠らせる方法、ひとつは、奴が気を失うまで俺がタコ殴りにする…もうひとつは、コレでお前が眠らせてやるか」 そんな事を言いながら、スタンガンをちらつかせる。 「な、にッ」 オレに…みずきをスタンガンで打たせようというのか… 「どうする?コレなら一瞬で気ィ失えるぜ…」 不気味に笑ってアキラを追い詰める。 「くっ…」 そんな2択… どちらも…みずきを傷つける。 もう、どこも傷つけたくはないのに…。 気を失うまで殴らせるなど…させる筈がない… タツは分かっていて、わざと…アキラが直接手をくだすようにしか選べない選択肢を突き付けているのだ… 「答えないって事は、俺が殴る方でいいんだな?」 タツは指を鳴らしながら…みずきに近づく… 「ッ!タツっ!」 わざとらしいそぶりを見せるタツに激しい怒りが込み上げる。 「ん?コレを使うか?」 アキラの目の前にスタンガンをちらつかせる。 それを受け取ろうと手を延ばすアキラ… しかし、タツはスタンガンを渡そうとはしない… 「おっと、今渡せねぇな…テメェは頭がキレるからなァ…何するか分かったもんじゃねぇ、テメェが始末つけるってことでいいんだな…」 タツも意外に用心深い… スタンガンに触れさせず、アキラに確認をとる。

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