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第64話

「……」 そんなタツを睨みつけながらも、頷くしか出来ないアキラ。 「ヤタ、奴の目の前まで連れていけ」 縄で縛られてカイに押さえ付けられ横たわるみずきのもとへ促すタツ。 「…みずき」 改めて傷だらけのみずきを見て、どうしようもなく胸が痛むアキラ… 自分のせいで… 「ぅぅ!」 近づいたアキラにどうにか触れようと身体をよじるみずき。 しかし、カイが頑丈に抑えつけていて動けない… 「カイ、奴を起こしてやれ!」 さらに、仲間へ、ぶっきらぼうに命令するタツ。 「ッ…」 みずきは抑えられながら膝立ちにさせられる。 「ほらよ…」 その胸にスタンガンを押し当て、アキラの片腕を乱暴に引っ張る。 「痛ッ…」 アキラの腕を掴んで固定させたまま… タツは、アキラへスタンガンを持たせる。 「さぁ、メモリは合わせた、あとはソレを押すだけだ…」 タツはニヤっと笑ってその光景を楽しんでいる。 アキラはみずきと視線を合わせることが出来ず。 わずかに震えている自分の手元へ視線を向ける。 みずきには…自分と関わりあいになってから… ずっとひどいことを… 言葉や態度で傷つけ続けてきたけれど… 直接、自分の手でみずきを傷つけたことはなくて… 他人から強要された事でも…それをするのは躊躇われる。 でも、タツは…いつまでも待つような相手ではないし… これ以上みずきを傷つけないためにも… 「…ぅ!」 (アキラ…) スタンガンを持ち震える手を見てみずきは… アキラの心にかかっている負荷を痛いほど感じ取れてしまう。 その間もタツがさらにアキラをけしかける言葉を放つ… アキラは意を決し、スタンガン位置をみずきの腹にずらし、値を確認して… 静かに目を閉じるアキラ。 「…みずき、ごめん…」 アキラは囁くように言葉を出し…

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