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第84話
「だいぶ、落ち着いたか?」
アキラの背をタオルで拭いてやりながら声をかけるみずき。
「いいよ、自分で拭く…服着てて、みずき…」
優しく労ってくれる。
力無い声で手伝いを断るアキラ…
「あぁ…」
みずきはアキラを気にしつつ簡単に自分の身体を拭いて…素早く服を着る。
そして、すぐアキラの様子を見る…
「…痛ッ!」
自分で身体を拭いていたアキラ…
火傷のキズに触れてビリッと痛みがはしる。
「大丈夫か?アキラ…」
心配で声をかけてしまうみずき。
「……うん、…オマエこそ、手とか足とか身体…ボロボロ、だろ…」
ぽつりと、消え入りそうな声で言う。
「俺は本当に大丈夫なんだ、暴力には慣れているし、もう痛みもあまりない…アキラの方が…」
みずきはアキラを安心させるため、はっきり答える。
「……オレも…、慣れてるから…平気だよ…こんなコトくらい…」
視線を落としたまま…
そう呟くアキラ…
BOUSでも…無理矢理されることなんか茶飯事だった…
「っそんな事あるか!」
そのコトバに…
つい声を上げてしまうみずき。
「……」
どんなに続けられた行為でも、一度だって慣れたなんて事をいえた覚えは無い…
みずきは強く思うが…
「……みずきは、そうでも…オレは、ホントに…慣れて、もう…何も感じない…つらいとか…くやしいとか、終わったら…もう、何ともないんだ…」
変なんだ…
何も感じない…
身体の痛みが残るだけで…
(……本当に?)
放心しているように紡ぐ言葉…
「アキラ…ちがう、そんなことはないよ…そんなことはない…」
優しく身体を寄せながらアキラに囁くみずき。
「……」
その、優しいみずきの手に、そっと触れる。
なんで…こんなに優しいんだろう…
他人に触られヤられて…穢れたオレに…
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