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第90話
思い通りにならない自分の身体を疎ましく思うが…
持って生まれてきたのはオレなんだから…
誰も責めれるはずもなく…
責めるなら自分で…
「…あーもぅ、ッ」
ヒキつる足をナイフで刺したいような衝動にかられるアキラ。
手をグーにしてその足を叩きつける。
「ッ痛…!」
つっている足全体がズキッと神経を伝うように激しく痛んだ…
唇を噛み、自分でした行為だが、その痛みに腹が立った…
横目でみずきを見るが…
まだ眠っているようだ…
「…おいていっちゃおうか…」
苦笑いをしみずきの服にそっと触れ…毛布を掛け直す…。
そしてまだ痛む足をひきずりながら台所まで行く。
しばらくして…
アキラがいなくなった為か、みずきが目を覚ます。
「ッ!?…アキラ?アキラッ!」
いるはずの人物の姿が見えなくて…
慌てて、呼ぶみずきだが…
「いるよー」
その声が聞こえて、一言返事をする。
「…は、」
けっこうしっかりした声が返ってきて、少し安心するみずき。
声のした方に歩いていく…
アキラは顔を洗っていたようで、タオルで拭きながらみずきを見る。
「おはよ…」
「あぁ…おはよう…」
アキラを支えようと腕を出すみずきだが…
「も、大丈夫。一人で歩ける…熱だいぶ下がったから…」
手をかざしながら、いらないという。
確かに昨日と比べると目線がしっかりしている。
「アキラ…」
そのアキラを真っ直ぐ見るみずき。
「ン?」
なに?というカンジで見返す。
みずきはアキラの髪にそっと触れ…
そのまま頬へ右手をおろしていく…
すっと親指でアキラの下唇を静かになぞる。
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