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第91話
その行動で分かったように微笑み少し顔を上げるアキラ…
みずきと同じタイミングで瞳を閉じて…
優しいキス…
何度か口づけて、右腕をアキラの肩にまわし…
「よかった…」
そう、ぽつりと言って抱きしめる。
いつものようにそれを受け入れるアキラ…
「みずき、オレはもう平気だからオマエの手当させろよ…」
「…あぁ、ありがとう」
「いいって、怪我人ほっとくと落ち着かないから…」
そう言ってソファにみずきを座らせる。
応急箱を持ってきて…
まず出血している手首のキズをみる。
擦り剥けカサブタができ痛々しい…
「よくあんなヒモ切れたな…」
消毒してガーゼをあてて、内出血も隠れるように包帯を巻く…
両手首の次は足…
会話をしながら手際よく手当するアキラ。
「結構、力あるだろ…昔から姉さんに頼まれて力仕事してたから…でも、実は俺も驚いている…」
みずきは苦笑いしながら言う。
「はは…みずきらしい」
アキラもつられるように笑い…顔に触れる。
「カオ…」
「……」
「バカだな…こんなに殴られて…」
タツに殴られ…
派手にアザを作っている顔…
仕事行ったら笑われるぜ…
「かっこ悪いよな…」
手当してくれる優しいアキラを…
見つめながら…
ぽつりと呟くみずき…
「ウウン…」
瞳を見つめ返し微笑む。
その綺麗な瞳に…
「…アキラ」
深く真剣な声で呼ぶ…
「ん?」
いつものようにみずきをうかがう。
「……すまない」
心からの詫び…
「なんで、みずきが謝る?」
アキラはスッとみずきの左隣に座り…
みずきの顔をのぞきこんで聞く…
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