92 / 144
第92話
「……俺が居たのに…俺が居たせいで、アキラに余計苦しい思いをさせてしまって…本当に、すまない…」
自分の情けなさ…弱さ…
愚かさ…悔やんでも悔やみきれない…
視線を下げて謝るみずき…
「…ばぁか、もう気にすんなよ…」
アキラはみずきの横髪に触れながら視線を合わせて…
「みずきだって、充分痛い目あってんだし、オレの面倒みてくれて感謝してるよ…」
「…アキラ」
アキラの言葉にどきっと胸がなる。
しかし…
「みずきは悪くない、でも…オレは、もうこの家に居る訳にはいかない…」
アキラは、決心した事をみずきに伝える。
「えっ…」
一瞬何を言っているのか…
信じられなくて聞き返してしまう。
「やっぱり…出ていくから、ここを…」
まっすぐ瞳を見つめ本気であることを表しているアキラ。
「な、なぜっ!それは…痛ッ」
そんなことを急に言われ激しく困惑する。
平常心でいられず慌てて両腕で、アキラの両肩を持とうとするが…
左肩がズキっと痛む…
「…お前、肩…どうかしたのか?」
反射的に肩を庇うように抑えて顔をしかめるみずきを見てアキラが言う。
「いや…」
アキラが出ていくかもしれない状況なので自分のことなどどうでもいいみずき。
首を振るが…
「みせてみろ!」
アキラは叱るように言い、みずきの左肩をみる。
「アキラ、痛ッ!」
話そうとするが…
アキラがゆっくりみずきの左腕を動かしたので、再び痛みが…
「…脱臼、してるかも…なら病院行かなきゃ…」
独り言のように呟く。
「アキラ?」
「動かすなよ」
アキラはみずきにきつく言って、肩を固定するための布を持ってきて結び付ける。
ともだちにシェアしよう!