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第93話
「とりあえず応急処置、病院行って検査してもらってこいよ、多分、もっとちゃんと固定してくれるから…」
アキラはそう促すが…
「俺は、別にたいしたことはない、病院に行くならアキラも診てもらうべきだ…昨日あれだけ熱があったんだ、身体にも負担をかけてる…」
みずきもアキラのことが心配で…
「オレは診てもらわなくても自分で分かるし、必要ないけど、オマエはそのままじゃ駄目だ…」
「…アキラが行かないなら俺も行かない」
断固として頷かないみずき。
頷けない…
もし、アキラを独り残して病院に行って…
帰った時に誰もいなくなっていたら…
そう不安になり… 今は離れたくない。
「っ馬鹿、ガキじゃないんだから…ったく、病院行けよ…」
呆れたように言うアキラだが。
「ガキでもなんでもいい…俺はアキラの傍から離れるつもりはない。出ていく…そんなこと言わないでくれ…」
「…みずき、ッ…!」
何か言葉をかえそうとするアキラだが…
また右足がピリピリと痛みだす。
ヒキつったように麻痺していく…
痺れる足を抑え、痛みにうつむいてしまうアキラ。
「アキラ…?発作か?」
すぐ異変をさっして聞く。
「足…マヒ、しただけ…」
そう短く伝えたアキラの足をみずきは優しく摩ってみる。
アキラは俯いたまま…
手をグーにして痛みを過ごす。
「ッ…は、ハァ、」
何も言わずカオを上げるアキラ。
「アキラ…」
「だいぶいい…も、大丈夫…」
みずきの手を避けながらそういう。
「……あぁ」
頷いて様子を伺うみずき。
「……」
アキラは無言のままだ…
「アキラ、その…」
みずきが言葉をかけようとするが…
それに割ってアキラが…
「あのな、オレは別にお前のコト愛してるわけじゃないんだ」
足の痛みも手伝って、イラついたように言葉にする。
「なっ…」
それは…分かってはいたけれど…
愛してないと…面と向かって言われたことが、辛くて…
ショックを隠しきれない…
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