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第95話

「無くなったら…また金を貯めて、買い直してプレゼントする…何度だって…俺は諦めない、振り向いてもらえるまで…」 みずきも引けない… アキラを優しく包み込みながら…強い意志を伝える。 「…なんの得があって、そんな…、ホント馬鹿だよ、こんな怪我までしてんのに…」 みずきに抱き寄せられたまま、弱々しく呟くアキラ。 「損とか得とか…俺は一度だって思ったことはない、アキラは重く考えすぎなんだ…責任を感じすぎるから…」 「……でも、オレといても…お前は…、よく…考えてみろよ…お前も…」 息をつくように話すアキラに気付いて、話しの途中だが額に触れてみるみずき。 「アキラ?大丈夫か?熱がまだ…」 触れたアキラの額はかなり熱い… 首筋はさらに熱く感じる。 「アキラ、取りあえず座って……また熱、上がったのかもしれない…」 マヒを起こしていたにも関わらず立ち話をさせていた… アキラは、まだ体調が回復しているわけではない… 休ませないといけない筈が…アキラの話しの内容に混乱して気づけなかったみずき… 慌ててソファへ座らせる。 「オレは、大丈夫だって…お前こそ早く病院行けよ」 まだそんなことを言っているアキラ。 なんとも強情で… 「決めた、アキラも病院に連れていく…」 みずきはアキラの様子を見て、そう言い出す。 「オレは行かない…」 緩く首を振るアキラだが… 「そんなにツラそうなのに…一度診てもらわないと、俺の気が済まないから」 いつもなら言い負けてしまうみずきだが… 今はアキラが、怒る気力が続かないほどツライ状態なのか… アキラはあまり強く言い返してこない… その反動か、みずきは自分でも驚く程、強引に言えてしまう。 「…どうしても行かないって言うのなら…救急車を呼んででも連れていく…俺はアキラが本当に心配だから」 アキラの額や頬に優しく触れながら… そう言い切るみずき。 「……」 「一緒に行こう…その、話しは…アキラの体調が良くなってから…アキラの気持ちを確かめながらちゃんと聞く…アキラの想いも考える。だから、今は…」 自分の身体を治すことを真剣に考えて欲しい… みずきは切実に思う。

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