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《病院へ…》
楠小児救急救命センター。
今時珍しい小児専門救急外来だ。
楠総合病院の分院にあたり、アキラの叔父、健次が医院長をしている病院。
朝早かったので一般外来がまだ開いていなく、外は寒いので救急外来の受付の方にまわるアキラたち。
救急外来も、今は比較的落ちついていた。
アキラが受付の人に話し掛けようとしたとき…
「おや、どうしました?二人とも…」
丁度処置室から出てきた健次。
アキラたちに気付く。
「健次さん…ちょっとみずきが怪我して…」
「本当ですね…アキラが手当したんですか?」
顔の怪我は手当済み。
「うん、でも左肩を痛めてるから…検査して欲しくて、忙しかったら他行くから…」
「いえいえ、丁度整形の先生がこられたので頼みましょうね…こちらへ」
いつも通り深くは聞かず優しく受け入れてくれる健次先生。
「ほら、行けよ!」
みずきを促すアキラ。
「アキラは?」
「オレは後でいいから…」
さらっと言い返す。
「アキラ…」
「ここで待ってるから」
「あぁ…あとでアキラも…」
診てもらわなければ…
言いかけるが…
「わかった」
言葉を遮るように、頷くアキラだが、どうもアキラは、はぐらかして診てもらう気がないように思えたみずき。
アキラを残し、健次に付いていきながら…こっそり伝える。
「健次先生…」
「なんですか?」
「あの、アキラのことなんですが…」
「はい…」
静かに耳を傾ける健次。
「最近、体調…崩していて、昨日なんか、41度以上の熱をだしたり…一昨日は発作を起こしていて、その一週間前にも半身麻痺の発作起こしたって聞いて、今も熱があって…手足の麻痺がまだ…」
伝えたい事が沢山あり上手くまとまらないみずき。
「落ち着いて下さいね…そうですか、アキラは何でも隠してしまいますからね、教えてくださってありがとうございます」
「いえ、俺はただ心配で…」
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