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第98話

「そうですね…一度入院させて精密検査をするべきでしょうね…」 「入院、ですか?」 「はい、何か都合が悪いですか?」 「いえ、ぜひ入院させてください、アキラ…俺の所を出ていくって言って…アキラの場合、その後どこへ行くか分からないから…」 人が昼夜と常駐している病院ならBOUSの奴らも手が出せない。 「そうですね…アキラのことは任せてください」 優しい笑顔で頷く健次。 「ありがとうございます」 それを見て、みずきも一安心する。 「では先にこちらでレントゲンを撮りますのでお待ちください、担当医には私から話しておきますから」 「はい、お願いします」 そう、診察を待つみずき。 しばらくして… アキラのもとへ戻ってくる健次。 「アキラ」 「あ、健次さん、あいつどうだった?」 すぐ様子を聞くアキラ。 「大丈夫ですよ、左肩を脱臼しかかっているようですが…一週間ぐらい固定して様子をみるそうです」 「そっか…」 「それより…」 健次はそっとアキラの額に手をあてる。 「えっ」 「やはり…熱がありますね、顔色もよくありません…アキラもついでと言ってはなんですが検査しましょう…」 「え、オレはいいよ、熱はいつもの事だし…」 血液検査なんかされたら…絶対炎症反応が出てしまうから… 拒否するが… 「いつも?それでは尚更ですね…」 そう悪気なく微笑まれると… 「…健次さん」 どうも健次には逆らえないアキラ。 「医師として不健康なままにはしておけません。さ、どうぞ…特別に僕が採血しましょう」 普通はナースに任せることだが…可愛い甥のために、そう笑顔で診察室に招きいれる。 「…あの、本当に採血はいいです」 もう一度言うが… 「何かまずいことでも?」 「……」 「アキラ…自分の身体のことを考えて、きちんと検査しましょう、ね」 優しく促す健次に、しぶしぶ短く頷くアキラ。

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