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《見えない心》

二月半ばを過ぎてもまだ肌寒い季節… みずきとアキラは健次が院長を務める小児救急病院にいた…。 アキラは自分を庇って怪我をしたみずきを医者に見せたかっただけだったが… 実際にはアキラ自身も検査をされてしまい… 健次に言われた通り病室で大人しく待っているアキラ。 そこへ… 「アキラ…いいか?」 そっと名前を呼んで病室に入ってくる聞き慣れた声の人物… 「みずき、肩…」 みずきは左肩から腕にかけ固定装具をつけている。 「あぁ、たいした事はないそうだ、ただ痛みが引くまでしばらくは固定しておかないと駄目らしい…」 「うん、聞いた…」 アキラはみずきを見つめたまま答える。 「アキラは…」 アキラの傍へ来て椅子に座るみずき。 聞こうとするが、言葉を遮りアキラが問い詰める。 「お前、健次さんに何か言っただろ?」 「えっ…」 思い当たることがあるのですぐ否定できない。 「やっぱり…」 それを見て、少し怒ったようにみずきを見る。 「いや、あの時の事は言ってない…でも、体調が悪いことは伝えた、アキラがはぐらかさないように…」 あの時の事とはアキラが昨日タツたちから強姦撮影を受けたこと… それは口止めされていたけれど、身体の事は別問題… みずきは、素直に伝える。 アキラにはきちんと検査して体調を回復して欲しいから… 「…あのな」 アキラは言い返そうとするが… そこへ、コンコンとノックの音。 「失礼します…」 入って来たのはアキラの叔父で小児科医の健次。 「あ、健次先生…どうぞ」 みずきは立ち上がり席を譲る。 「…すみません、鈴鹿さん、ありがとうございます」 みずきに礼を言い病院のベッドサイドに座っているアキラに優しく話しかける。 「アキラ、先程の採血の簡易結果ですが…白血球数が通常より多いですね…身体のどこかに炎症を起こしているところがあるようです」 考え窺うように伝える健次。 「……」 アキラはその原因を分かってはいるが… 健次には言えない… 「ウイルス等は出ていないので、解熱剤の処方をしますね、詳しい抗体検査結果は1週間後に分かるのでまたお伝えします」 健次の言葉に小さく頷くアキラ。

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