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第102話
また笑顔を隠してしまったアキラ…
健康面を理由にしたとはいえ、結果的にアキラの自由を束縛してしまうことに…。
みずきはそっとアキラの髪をとくように…
頭を撫でる。
「…なんでだろうな」
ふと疑問を口にするアキラ。
「どうした…?」
「オレ、何も話さずに…みんなに嘘ついて、お前には別れるとまで言ってるのに…」
ぽつりと、零す言葉に…ドキッとするみずき。
(別れる…)
一番聞きたくない言葉だ。
「…健次さんもお前も、優しい…」
俯いたまま、アキラは続ける。
「…それは、健次先生も、俺も…アキラのことが本当に好きだから…優しくするし、心配するのは当然だろう」
アキラを見つめ、優しく言葉にする。
みずきの答えを聞いてアキラは、瞳を重ね…
純粋に想う気持ちを伝える。
「オレは…お前みたいな、イイ人に好かれる価値はないと思うんだ…本当に…」
みずきとオレとじゃ…やっぱり釣り合わない。
何度か言った想い…
冗談のように流されてしまったけど。
「…アキラ、人の価値は自分では決められないと思う…アキラが、俺の事をいい人と言ってくれるように…俺はアキラを尊敬できる人だって思っている…」
口ベタなみずきだが…自分の気持ちを素直に伝え、続けて…
「…俺も自分で自分をいい人だなんて思わない…けれど、自分のよい面を見つけてくれる人は信じていいと思うよ…それが自分の価値だと思う」
アキラに、優しく触れながら諭すみずき。
「でも…オレは…。オレを見た奴、大体は…オレのこと、軽い奴だって言うし…実際、そうだと思う」
うつむくアキラに寄り添い聞く。
「どうして?俺はそうは思わないよ…」
アキラの心を伺うように…
優しく伝える…
「BOUSでオレがどんな風に思われてたか…知ってるだろ?誰とでも寝れる奴だって…みんなそう言ってた」
人の価値を周りが決めるなら…
それはやっぱり、多数派の意見が優先されるはず。
「それはアキラ、持病があるから逃げれなかったんだろう」
みずきは首を振って言うが…
マイナス思考に捕われているアキラ。
みずきに怪我をおわせ…
タツたちに強姦された自分…
その負の感情が…今頃になってじわじわアキラの心を苛む…
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