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第103話
「…そういう風に聞いてきたのもお前だけ…諦める理由なんか考えもしない、他はみんな…されるのを待ってるとか…誘ってるとか勝手に決めつけて…でも、それが普通だった、みずきが特殊なんだよ…」
「アキラ…俺は特殊だなんて思っていない。本当に好きなアキラのことを、もっと知りたかったから聞いたんだ」
らしくないアキラの言葉も…
そっと頬に触れ…
偽りない愛で優しくなだめる。
「…みずき、でもオレは間違ってない」
今まで経験してきたことをナシにはできない…
「アキラ、身体だけ求めてくるBOUSの奴と俺は違うし、でもBOUSの中にも純粋にアキラを好きになっている奴だっていたはずだ…俺が、そうだったように…」
「その区別…オレには分からない…」
そう、言葉にはするアキラだが…
本当は、もう分かってる…
体調を気遣って性欲を我慢できるみずきと、ただ我欲のまま性欲を押し付けてくる奴らと…
全然ちがう…
しかし…
アキラは思う方向へ進めるためわざと嘘をついた。
「アキラ、俺は…」
「アイツらは…身体目当で、お前はそうじゃないってコト?」
「あぁ」
アキラの質問にはっきり答えるみずき。
「じゃ…みずきは、オレの身体に触れられなくても、好きでいられる?…身体目当てじゃないんなら出来るだろ?」
みずきを試すように言う。
「えっ?」
思わぬ言葉を言われ…
返事に詰まるみずき…
「…できないならみずきも他の奴らと同じ…」
「ちがう、それがアキラの望みなら出来る。けれど、俺はお前の全てを好きになっているから…」
強い心も…
綺麗な身体も…
しかし、アキラに誤解されないような上手な言葉が思いつかないみずき。
「全て…なんか絶対嘘だ」
呟くように否定する。
「アキラ…」
「…じゃ、オレはお前に触られたくない、離れて…」
隣に座っているみずきを軽く押し離しながら伝える。
「え…なぜ?」
そんなことをいきなり言われ動揺すると共に、胸がズキっと痛むみずき。
「深いイミはないから…ただ、試してるだけ…」
こんな勝手なことを言うオレ…
それでもまだ全てが好きだなんて言えるのか…
完璧な人間なんかいない、嫌いな部分もあるはず。
それを見過ごすお前…
気付かないお前は…
本当のオレに気付いていないから。
そう胸の内で思うアキラ。
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