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第104話

「…わかった、アキラの気が済むように…けれど、俺の気持ちは変わらないから…」 試すと言ったアキラ。 自分の想いを信じてもらうため、敢えてアキラの理不尽な言葉を拒否せず従うみずき。 期限がいつまでなのか… それすらわからないのだけど… 「……」 触れてほしくない。 痛い言葉… アキラに触れられない日々は考えただけでつらいけれど… だからと言ってアキラの想いをはねのけられはしない… 自分を試しているイコール、認めてもらえるチャンスかもしれないから… 「アキラを好きだという気持ちは変わらないから…」 みずきはもう一度、自分の信念を伝え、そっとアキラから離れる。 「……」 その瞳を静かに見返すアキラ。 言葉がだめなら…接触から引き離す。 触れさせない、SEXもキスも、手を握る事さえ許さない… みずきの心を放していくために…考えたコト。 言葉で別れようって、いくら言っても駄目なら… 「お前、その腕で仕事できる?」 不意に聞くアキラ。 「え、あ…あぁ。利き手が無事だから出来るよ」 「なら、ここに来るのは仕事が休みの日だけにしろよ、その腕じゃ、バイク乗れないだろ?怪我してるんだし仕事の日は家でしっかり休め、な?」 同意を求めるように言うアキラだが… 「いや俺は毎日でもここに顔を出したい、会えないのは辛いから…心配は嬉しいけれど…俺は…」 アキラはみずきの言葉を否定する。 「オレは来てほしくないんだ…お前に…」 傷つけるとわかっていても… 後には引けない… 「…何故!?」 「お前の、その腕とか見ると、昨日のこと思い出すから…」 傷つけてしまったことも、強姦されたことも、痛い記憶が蘇るから… 「っ…それは…」 アキラに、そう言われてしまうと… 無理に会いたいと言えないみずき。 つらい事を思い出させたくはない… しかし、コンビニで昼夜とも働いているみずき… どちらも休みの日は週に一度あるかないか…

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