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第108話

少しの静寂……。 「スタンガン…痛かった?」 自分がこの手で…気絶させた… ポツリと呟くように言う。 「痛くなんかない…痛かったのはアキラだから…」 はぐらかすのが上手いアキラ… 本当は優しくて傷つきやすくて…複雑な心を持っている… それくらいはみずきにも分かっている。 その複雑な気持ちを少しでも理解したいみずきだが… それはやはり難しい… 「分からない?オレが今一番思ってるコト…」 痛いのは誰だって嫌だ… だから、一人になれば… 他人の痛みまで感じることはないから… 「……」 「お前が…オレのこと忘れて、離れていってくれたらいいな…って、」 少し微笑みながら…わざとさらっと言うアキラ。 「……アキラ、また、来るから…」 アキラの言葉にぐっとなりながらも… 負けずに言葉を返す。 「…ちゃんと一週間後にな…」 みずきの反応を見てみぬ振りをして、バイバイする。 「……」 みずきもなんとか手を振りかえして… 帰り際、アキラに触れたい気持ちを抑えて病室を出る。 やはり、一週間会えないと思うと…後ろ髪を引かれるような思いにもなるみずき。 一週間後、アキラはちゃんとここに居てくれるのか… 不安にもなるけれど… 信じるしかない、自分を試すと言った言葉を… アキラを… みずきは強く思って、誰もいない自宅へ帰っていく…。 「……」 アキラは静かに見送って溜め息をつく… 自分の矛盾だらけの気持ちと現状に… 傷つけたくないのに… 自分の考えを通そうとしたら、みずきを傷つけてしまう。 だからといって一緒にいたら余計、ココロも身体も傷つけるだけ… 「…これから、どうしようか」 一番いい方法なんかないから… 「ふぅ、メアリーとリッツに会いにいこ…」 迷いを振り払うように呟いて… 点滴台を持って病室を出る。 子供の笑い声や泣き声が混ざる賑やかな小児病棟… 小さい頃は自分もこの中で過ごした… 横目に見て通り過ぎようとしたとき…

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