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第109話
「あっ!!」
プレイルームと呼ばれる遊戯室から大きな声がする。
「ん?あ…」
何かと振り向くとそこには…
「…マサキ」
少し前に出会って友達になった正木優矢がいた。
ここしばらくは、アキラが一方的に連絡を絶っていて…
アキラとしては気まずい…
「アキラさん!ようやく会えたっ!」
しかしマサキは笑顔で近づいてくる。
「急に病院からおらへんなって…心配しとったんやで!」
「…マサキ、お前なんでここに?」
アキラはまず疑問をなげかける。
「あ、ここの子らに自分が描いた絵本見せに…ボランティアで来とって」
絵本作家のマサキ。
「そうだったんだ…びっくりした」
「あと、ここに来てればいつかはアキラさんに会えるかもって…」
少し照れたように言うマサキに、アキラは敢えて聞く…
「オレ…、勝手にケータイナンバー変えたり…音信不通になったりしたのに、怒ってないのか?」
「怒っとるで…少しは、でもええわ、こうしてまた会えたんやからな…アキラさんも色々迷とったんやろ?ま、今度は言うてな…。せや、この新作の絵本見せよう思とったんや…」
マサキは深く追求せず優しい笑顔で許してくれる。
「まだ…オレと友達で居てくれるんだ…」
「あたりまえやろ、病気のことも気になっとったし…まぁなんも連絡なしに消えるんは勘弁な…心臓に悪いわホンマ」
「…ごめん」
その優しさに罪悪感がわき…ポツリと謝るアキラ。
「ええって、それより、どないしたん点滴なんかして…」
マサキは優しく許しながら、アキラの手首に繋がっている点滴を見て聞いてしまう。
「あぁ、これは…ついでに点滴されたって感じで…たいしたことないんだ、ただ検査入院することになって…」
少し渋い顔をする。
「う!検査…ゆうたら、筋電図やな…」
マサキも分かって答える。
「できればしたくないよな…」
同じ筋疾患系の友なので話しが合う、苦笑いで話す。
「アレは故意に麻痺起こさせてるようなもんやからな…」
しみじみいうマサキ。
筋電図検査とは筋肉に針をさして動作したり、電極から電気を流し、筋収縮を故意に起こさせ、その反応時間などを測定していく、苦痛をともなう検査…
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