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第111話

「お前たちとオレ、どっちが長生きだろーな?」 冗談ぽく笑って言うアキラ。 そこへ、小屋の外からコンコンとノックの音… 「あ、マサキ」 「ここにおったんやね、その犬確かアキラさんちの…」 思い出して言うマサキ。 「そ、オレが飼ってた犬。それよりマサキ、子どもたちは?」 「先生が回診にこられたんや、あの子らも病室帰ったで…」 「そっか…」 「ほら、これ、アキラさんモデルにして描いたんやで!」 マサキは小さな絵本を取り出す。 色鉛筆で描いたような柔らかいイラスト。 「オレを?」 「そうや、自分も病気やから、病に苦しむ子らのつらい気持ちはよう分かる…だからこそ病気に負けたらあかんっていう思いを描いていきたいんや、アキラさん見とったら無性に描きとうなった!」 嘘偽りなく笑う。 「……」 アキラはそっと絵本を見る。 「ここに持って来たら、こどもたちが喜んで見てくれるんや、最近はそれ見るんが楽しみでな…自分の作った絵本で少しでも曇りがちな子らを勇気づけられたら…うれしいし」 メアリーとリッツに触れながら伝える。 「そーや、じっとしとくんやでー」 マサキは犬たちに言い、思い立ったように鞄からスケッチブックを取り出す。 「なに?」 アキラが聞くと… 「すぐ描けるで、待っとってな~」 濃さの違う茶色い色鉛筆2本取り出して描き始める。 すらすらと躊躇いなく描いていく… 「よし、出来たで!プレゼントや」 マサキはスケッチブックを一枚破ってアキラに渡す。 「…すごいな、上手い…」 貰って驚くアキラ。 自然と笑みが零れる… 茶色系で描かれた犬2匹と自分の姿… 色鉛筆の独特なタッチで綺麗に描かれている。 「やっとや…普通に笑ろーた」 「え?」 「何があったんかはしらんけど、肩の力抜いて…困っとるんやったら相談乗るし、一人で抱えこまん方がええで、アキラさん」 友達やろ?と付け足して優しく伝える。

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