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第113話
「ん、オレは平気、ちょっと高熱がでてさ」
元気そうなルードの声に和みながら答えるアキラ。
『えー!大変じゃん!お見舞い行くよ!』
「いや、オレは本当、たいしたことないから、ルードはみずきのとこ行ってやって」
『えっ、みずきも入院してんの?』
「ううん、入院はしてないけどな、肩を怪我してるから、腕動かせなくて晩飯作るの難しいみたいだから、また暇な時、飯作りに行ってやって欲しいんだ、ヨシ連れてってもいいし…」
『うん、そんくらいならオッケーだよ、怪我ってなんかあったの?』
「うん、ちょっと不良に絡まれて、庇ったみずきが怪我したからさ…」
ルードにも真実を隠し…
伝えれることだけ伝える。
『マジで!?大変だったんだな…』
「…うん、だからよろしく!」
疑うことなく信じるルードに…少し罪悪感を感じながらも、みずきのことを頼む。
『オッケー!飯はまかせて!みずきの仕事の日いつか解る?忘れるからメールしといてくれたら助かるけど、みずきのいる時間に行くよ』
快く引き受けるルード。
「分かった、またメールしとくよ」
『ついでにヨシがいる日、車あるからアキラの見舞いに行こうか?みずきも連れて…』
そう提案してくるルードに、アキラは緩く首を振りながら断る。
「いや、みずきには一週間後まで来るなって言ってるからいいよ、オレは見舞われるほど悪くもないし…検査だけだから」
『そうなんだ?じゃ、ヨシ連れてみずきんちに飯作りにいくだけにするよ?』
「おう、よろしくな…じゃそろそろ切るよ」
『おーじゃ、またなー!アキラも無理すんなよ!』
「はは、ありがと」
そうしてルードとの電話を切る。
元気そうなルードの声を聞いて少し和むアキラ。
みずきのことも頼んだし…
ルードなら上手くやってくれるだろうから…
そう安心する。
「メアリー、リッツまたな」
アキラは、犬たちに言葉をかけ、病室へと戻って行った。
《見えない心》終。
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