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《思惑の先に》
点滴が終わり、針を抜いてもらうと、添えつけの公衆電話で、本当はかけたくなかったが、BOUSへ連絡するアキラ。
このままほっておいて、再びみずきの家に乗り込まれても困るから…
『はい、BOUS事務所です』
電話に出たのは撮影助手のルキ先輩だ。
「…あの、サクヤです」
一度辞めている身なので名のりづらく…小声になる。
『えっ?サクちゃん?』
相手も驚いている様子…
「あの、トップ…社長に繋いでもらえませんか?」
『社長?うん、少し待ってね…』
ルキはそう言うと電話を保留する。
しばらくして保留音が切れる。
『もしもし、サクちゃんだね…電話くるのを待っていたよ』
ゆっくりと話す社長。
「え?」
『意外に遅かったね…一回目の撮りで抗議してくると踏んでたんだがね』
「どういう意味ですか…それは」
社長の言い方に聞かずにはいられない。
『あの撮影は、サクちゃんを引っ掛ける為のただの罠…』
さらっと言う社長…
「なっ、そのせいで怪我した奴だっているんだぞ!」
そんな社長の態度に…
ついカッとなるアキラ。
『…ユウちゃんのことか?タツから聞いてるよ、一緒に暮らしていたそうだね』
「っ…」
『珍しいことじゃない…性優同士が恋仲になるのは…』
「ちがっ」
これ以上、みずきを巻き込む訳にはいかない。
『そう否定せんでも…』
「アイツとは、本当に何でもないんです」
『そうかね、まぁその方がこちらの話も受け入れやすいだろうがね…』
見透かすように笑いながら話を進める社長。
「…話?」
『直入に言うと…サクちゃんを買いたいと言う客がいてね』
「…は?」
『その客は変わった趣味で、色々な美少年を自分の元に置いておきたい人で、今までにもウチの卒業した性優の中で気に入った者を高額で買ってもらっているお得意様なんだよ』
「…な、そんなこと、OKするわけないだろ!」
当然断るアキラだが…
『…断るのは止めておいた方がいい』
意味深に話す社長…
「脅す気ですか?」
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