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第119話

「続けますね」 アキラに確認して…再び麻痺する腕に触れる。 「ッ…、…ぅッ」 ぐっと力をかけ、アキラの腕を伸ばして、さらに硬く握られた指も伸ばしていく… 同時に上腕からマッサージをしていく健次。 「ァッ!痛ッ…っ」 健次の行動に、激痛が走り麻痺していない手でベッドサイドを握り、俯いてその痛みに耐えるアキラ… フッと… 不意に、麻痺していた腕から力が抜け… 痛みが引く… 「…解けましたね、指先は動かせますか?」 「ハァ…ハァ、はい、ありがと…ございます」 そう、息をついて…お礼を言う。 普段なら4、5分は麻痺が続くのだが、健次が処置してくれたおかげで、20秒ほどで麻痺が解けた。 麻痺していた指先を確認するように動かして、軽くさする。 痛みは引き、僅かに痺れが残る程度… 「アキラは相変わらず我慢強い子ですね」 そんな様子のアキラを見て、優しく頭を撫でて言う健次。 「け、健次さん、子どもじゃないんだから…」 「はは、そうですね。まだ麻痺を繰り返している様子ですから安静にしておいてくださいね」 「ん…」 「アキラ、麻痺の時、自分で腕を伸ばすことはできませんか?」 「…自分じゃ、痛いし、麻痺が硬くて片手じゃ伸ばすの難しいです…」 「マッサージはしっかり筋を伸ばした状態で行った方が早く解けますよ」 「うん…分かってるけど、やっぱ痛みがあるから伸ばすの躊躇うんだよな…だから、だいたい自然に治るまで待ってる…」 腕を伸ばす動作も、マッサージもかなりの激痛が伴うため、なかなか自分から痛みを堪えながら続けるのは難しい。 「そうですか、やはりアキラのそばには助けてくれる人が必要ですね」 健次の意図が伝わって、やや表情を曇らせる。 「別に…」 「アキラ、鈴鹿さんの所を出るつもりなのですか?」 「…そうだけど」 「私は反対ですよ、アキラが1人暮らしをするのは心配ですから…」 以前、階段から転落して怪我をしたことがあるアキラ… やはり心配するが… 「けど、他人のみずきにばかり迷惑かけるわけにもいかないから…」 オレと暮らしていたことで、怪我もさせてしまった… これ以上巻き込めない… 「けれど、鈴鹿さんは…」

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