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第124話

あいつは… 『好きだから…愛しているから一緒にいたいんだ…』 『俺の気持ちは変わらない…』 BOUSという狭い視野の中で… 今は…オレしか目に入ってないだけで… もっと…みずきの理想の相手と出逢えたなら… 想いは変わっていくはずなんだ… 優しくて…みずきを一途に想ってくれるひとが… 現れれば… そうすれば… オレから意識がそれて… みずきにとって、オレは必要ない存在になるから… 「……」 そう思った瞬間… 胸がギュッと締めつけられるように痛んで… アキラはその感情を否定するように…緩く頭を横に振る… 生きていくため… 誰かに必要とされたい… その想いが、いつまでも消えないから…独りになれない。 誰からも相手にされなくなることが…怖くて… だからって優しいみずきの気持ちを利用していい訳はないから… 独りでも生きていけるように… 強くならないと… いけない… そのために… 優しいヤツは遠ざけていく… そばに居たら… その優しさに甘えてしまうから… 甘えは心を弱くする… 好きと言ってくれる…みずきを遠ざけるため… 嫌われてもいいくらいに… 突き放していかなきゃならない。 本当はみずきをこれ以上、傷つけたくはないけれど… この先のリスクを考えると… 今の痛みは、わずかな痛みになるはずだから… どうやれば、みずきに嫌われるか…考えないと…。 「…はぁ」 そう思うだけで憂鬱になり、溜め息が漏れるアキラだった…。

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