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第129話
「アキラは凄いな…」
そんな可愛いアキラを見つめ、みずきは微笑み不意に感心する。
「何が?」
「辛いことがあっても逃げないし…あったこと自体気づかせないほど…周りに愚痴を漏らさないだろう…」
検査もだけど…
タツたちの撮影も…
BOUSのことも…
意図して人を頼らず自分の力でなんとかしようとする…
年下なのに、本当にしっかりしているから…
「だから凄い…」
「…そんな、人の愚痴なんか聞かされたら嫌な気分になるだろ…」
「ならないよ、俺はならない…嫌なことでも、溜め込まず何でも話してくれ…」
アキラのことなら何でも知りたいから…
「……」
「検査は代わってやれないけれど…気持ちを分かち合うことは出来るかもしれない…話すことで楽になることもあるから…」
アキラに頼られる人間になりたい…
少しでもアキラに認めてもらえるよう。
そばに居て、心も支えていけるように…
アキラの背負う荷を少しでも軽くしてやりたいから…
「みずき…お前はホント変わってる…」
感心するようにみずきに言い…微笑む。
嫌なところなんか普通見たくないだろ…
「え…そ、そうか?」
普通に思っていることを言っただけのみずき…
変なことを言っただろうか…と首を傾げる。
「うん…、じゃ見る?」
ひくかもしれないけど…
試すようにみずきに言う。
「アキラ?」
病院の長袖の寝巻きを着ているアキラ。
その両腕の袖を捲り、手首と腕をみずきに見せる。
「ッ、これは…」
アキラの色白の細い両腕は、痛々しくあざができていて…
他にも注射の痕のようなあざもある。
「昨日の検査の痕と点滴漏れの痕…」
入院中は体調を整えるため、毎日点滴をしていたから…
「痛くないのか?」
見るからに痛々しいのだが聞いてしまう。
「触ったら痛いけど…このくらいは平気、でも、このアザはしばらく消えないんだよな…それがちょっとヤかな…」
腕についたアザを手で隠すように触れながら…
そう伝える。
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