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第134話
続柄というと…
他の記入を見ると、母親とか父親とかが主、兄弟も少しいるが…
お世辞にも、アキラと兄弟には見えない自分…
どうしよう…
いつまでも書かないと怪しまれるし…
何を書いていいのか分からない…
内心かなり焦っていると…
隣にも若い人が…
こっそり続柄を見たら…従兄弟と書いてある。
いとこ!!
これなら、いける…だろう。
突発的出来事に対応するのが苦手なみずき。
混乱しながらも…アキラの名前の横に従兄弟と書いて自分の名前を記入し、なんとか乗りきった。
「はい、ありがとうございます。こちらを胸につけてA組の列の席へどうぞ」
手作りの赤い花のブローチを渡される…
係りの生徒がそう案内する。
流れに逆らえず言われるまま席に着いてしまう。
「……」
普通に卒業式会場に入ってしまった…
アキラは怒るだろうか…
しかし、この状況では今から途中離脱できそうにないから…
考えている間に式が始まってしまう。
『卒業生入場』
ブラスバンドの音楽とともに、入場が始まる。
アキラは…
A組は1番に入場してくるはず…
担任教師の後に続いて入ってくる卒業生たちを見るみずき。
(…アキラ!)
アキラの髪は淡い栗色…、ひとつに結んではいるが、ロシア系の日本人離れした色白な姿はかなり目立つ。
すぐ見つけることができた…
アキラはまっすぐ前を見て歩いているため、こちらには気づいていない。
入場が終わり…
国歌斉唱や祝辞などが済み、次は…
『卒業証書授与』
『3年A組…』
静かな音楽の中…
3年生の担任が立ち上がり、名簿を手に一人一人の名前を呼びはじめる。
呼ばれた生徒は短く返事をし、立ち上がる。
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