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第135話

順番に名前が呼ばれ… 『楠木 晃』 アキラが呼ばれた… 「はい!」 しっかりと返事をして立ち上がる。 澄んだアキラの声が体育館に響く… 少しの期間だが、みずきの家からこの高校に通っていた。 それを思うと感慨深くなる。 (アキラ…おめでとう) 自分は高校に行けなかったが、アキラが卒業してくれることは、自分が卒業したのと同じくらいの喜びを感じる。 病気に負けず、がんばって高校を卒業したアキラ… それなのに…誰も、アキラの卒業式を見に来ないんだな… 父親も母親も… アキラの父親は、アキラを殺そうとしたくらいだから… 来るわけはないが… 本当の母親はどうしているんだろう… 離れていても、卒業式くらい…出れないのだろうか… アキラの頑張りを認めてあげれる大人は誰もいないのか… アキラには怒られるかもしれないけれど… アキラの卒業式に自分だけでも、参加できて良かったと、そう思う。 卒業証書はクラスの代表者が受けとり… 別れの歌、仰げば尊しを聞くとじんわり涙が出そうになる。 そうして、式はそこはかとなく終わり… 『卒業生退場』 みずきはアキラを見つめ、送り出す。 なんとかアキラに見つからず式を終えることができた。 かと思った瞬間… 退場の時はすれ違うかたちになるため入場よりもよくお互いの顔が見える。 ずっと見つめていたため、不意にアキラと目が合ってしまう。 (アキラ…!) (えっ、みずき!) アキラも居るはずのない人物と目が合って、ややびっくりする。 が、退場の途中なので何事もないよう通り過ぎて行く… 「……」 アキラに見つかってしまい、動揺しつつも、流れに乗って体育館を出る。 その後、父兄も各クラスに入って行く… 担任から一人ずつに卒業証書を渡すらしい。 しかし、さすがに中までは入れず教室の外で待つ。

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