138 / 144

第138話

「あ…バイク乗ると触ってしまうな…」 バイクを見て、アキラは、ふと思い出したように呟く。 「そうだな…」 「でもつかまらないわけには行かないし…」 バイクを見て首を傾げる。 「…近いから歩いて帰るか?」 気遣うように聞く… 「ん…、でも久しぶりに…バイク乗りたいかも…」 「……じゃ、出来るだけ俺からは触らないようにするから…乗って帰るか…」 「そうだな…直接触れるわけじゃないから…」 「あぁ…気をつけて」 「ん…よいしょ」 掛け声とともにバイクの後ろに乗るアキラを見守る。 「乗れたか?」 いつものように手を貸したいみずきだが、近くで見守り、声をかけるだけにする。 「ん…」 メットをつけ、みずきもバイクにまたがり、アキラが落ちないようベルトを着けて… 「大丈夫か?」 確認する… 「ん…バイク久しぶりだな」 そう頷いて、みずきの腰に手を回し…ぎゅっと掴まる。 「あぁ…行くよ」 アキラに触れられ…ドキドキしながらも… 安全を確認してバイクを走らせる。 アキラが振り落とされないかも心配しながら、スピードに気をつけて帰る。 バイクでは数分の距離… あっという間にみずきのアパートに到着する。 そっと腕を解くアキラ… 「平気か?」 「ん、気持ちよかった」 「……」 みずきは降りてしまうのが惜しい気持ちになるが、エンジンを止め… ベルトを外し、バイクから降りる。 そしてアキラが降りようとするのを手伝おうとするが… 「大丈夫、降りれる」 アキラはゆっくり1人でバイクから降りる。 「あぁ…行こうか」 バイクを停めて片付けて、アキラを促し駐車場からアパートまで歩いていく。 「なんか久しぶりな感じ…」 「あぁ」 家に着いて、アキラを招き入れながら頷くみずき。

ともだちにシェアしよう!