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第140話

「うん、まだ平気」 そう微笑み答える。 「そうか…気分が悪くなったら教えてくれ」 「大丈夫!」 相変わらず心配性なみずきに、仕方ないなぁと笑いながら、元気な様子を見せ答える。 最後のパレード… ベンチに座って少し離れた場所から見ている2人… 歌とダンス… 電飾がきらびやかに光って… 夜ならではの独特の雰囲気のパレード。 「凄いな…」 ポツリと…感想が零れるみずき。 「ん、綺麗…夜のパレードなんか見たの初めてだよ」 パレードを見ながらアキラも答える。 「そうか…俺もだ」 そんなアキラを見つめ、優しく頷く。 「そっか…」 答えたその表情は微笑んでいて… その様子をみているだけで、幸せな気持ちになる。 「ここからだと、少し見づらいが…大丈夫か?」 人垣が出来ていてパレード全体は見えない。 「ん、いいよ、座ってても隙間から見えるから…」 「そうか、良かった…」 安心したように微笑む。 そうして… しばらく座ったまま寄り添い、パレードを楽しむ2人。 幻想的な雰囲気が、夢の中にいるような不思議な感覚にさせてくれる…。 「…みずき」 今度はアキラがポツリと名前を呼ぶ… 「ん?どうした?」 「みずきはオレのこと…勝手で、ひどい奴って思わない?」 パレードを見ながら、そう問う。 「なぜ?」 「触るなって…お前の気持ち知ってて、理不尽なこと…言ってるだろ」 アキラは感情をみせないように言葉を繋ぐ。 「…いや、理不尽じゃない…」 緩く首を振り、はっきり答える。 「…え?」 そう答えたみずきに少し驚いて瞳を重ねる。 「俺は、お前に愛されるだけの男になれていないから…」 好きなひとには自然と触れたくなる。 けれど、アキラは触れたくないと言った… アキラの中で、俺はそれだけの存在ということだから…

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